研究内容

2015/12の大学の紀要に寄稿した研究室の紹介文はこちら



板材の異方性塑性特性

金属板材の異方性降伏曲面のモデリング

自動車のパネルなどに使われる金属板は,圧延によって製造されるため,材料特性に強い異方性を持ちます.このような異方性はプレス加工における材料の変形予測を難しくします.この研究では,材料の塑性異方性を,簡易実験によりモデル化する方法を提案し,高度な変形予測技術の確立に寄与することを目的とします.図は材料の異方性を測定するための試験方法の概念を示しています.



均質化法による多孔板の降伏曲面モデリング

パンチングメタルとも呼ばれる多孔板は,孔の配置や大きさによって,力学特性が変化します.このような下部構造をもった板の特性をマクロの視点でモデル化するためには,均質化法が有効です.均質化法では周期構造から代表となるユニットセルを設定し,ユニットセルの周囲に周期境界条件を与えることで,実験では不可能な複雑な応力状体を与えることができます.この解析を数値実験とみなして,解析結果から降伏曲面をモデル化します.図は千鳥配置の多孔板における降伏曲面を示します.ほぼ法線則は満足しますが,孔の形状が変形と共に変化していくことから異方硬化している様子がわかります.



多孔質体の変形挙動

金属繊維焼結体の構造および力学特性の解析

材料の内部に多くの空隙を持つ材料は「多孔質体(Porous material)」と呼ばれます.多孔質体の力学特性には,基材の材料特性だけでなく,ミクロ構造が強く影響します.この研究では,ミクロ構造がマクロ特性に与える影響を,実験と数値解析により体系的に整理することを目的としています.図は,金属繊維を焼結して作成される多孔質体の実験例です.構造の方向性によって強い異方性が発現していることがわかります.



大変形する構造材の測定と解析

和弓の力学特性の測定と合理性の解釈

弓道で用いられる弓は変形によって力学的エネルギを蓄積し,これを矢の運動エネルギに変換しています.この研究では,弓のように大きな変形を示す構造部材の変形の様子を実験および計算によって再現します.変形の大きさが,線形による予測の範囲を超えるので,大変形理論を用いて解析を行います.図は「引分け」動作による弓の変形を測定する試験機とその結果を示しています.この研究では,実験と解析により構造材形状の合理性を明らかにすることを目的としています.